コロナ禍の最中に旅行会社ができること その2

(2020年4月21日)

前の記事「コロナ禍の最中に旅行会社ができること その1」
旅行会社の強みは「組み合わせる力」で、
旅行会社が社会に対して担ってきた価値は「豊かさ」ではないかと書いた。

ではその旅行会社がこのコロナ禍にできることはなんであろうか。

キーワードは、「非接触」・「オンライン」・「ワケーション」・「心のケア」。この辺りだと思う。


以下、妄想大半、旅行経営産業塾のオンライン飲み会などで話題にあがったものなどの羅列である。


「国内ツアーの訪問箇所のレストラン・お土産物の売れ残り商品をネット販売へつなぐ」

お客さんの減少や休業で売れ残っている商品はたくさんあるはずだ。困ったことに食品には賞味期限がある。情報とネットワークのある旅行会社が、困っている(余っている)商品を発掘し、旅行に行けなかった消費者に届ける。その際に、商品の製造方法や地域での歴史、生産者の思いや、今どのような状況にあるかなどの物語も共に届ける。旅行者も旅を疑似体験でき、実際にその幸を食べることができる。
このつなぎ役は旅行会社の得意分野だ。なぜなら商品の魅力を発信し、オススメするのは昔からの18番なのだから。

「バーチャルバスツアー」

「ZOOMバス」に乗って、写真や動画を使って疑似ツアーに参加。バスガイドさんがZOOMホストとなり案内してくれる。紹介された食べ物・お土産物は通販で購入可能。

「添乗員Youtubeチャンネルを作って旅の思い出話を配信」

まずそもそも今、添乗員が仕事がなくてやばい。国内もアウトバウンドもインバウンドも、そして観光も商用も押し並べてツアー(仕事)がない。こんなことは今までになかった。添乗員の多くは添乗員派遣会社に登録していて、日当ベースの給与となっている。つまりツアー(仕事)がないと収入がない。みんなこの期間、他の仕事を探して食いつないだりしているはずだ。私の周りでは、翻訳系の仕事をしたり、はたまた若い人は今需要が伸びているウーバーイーツの配達員をやったりしている人が多い。

だけど、やっぱり添乗員はこれも押し並べて「旅好き」が集まっている。プロ添乗員で1ヶ月以上も添乗業務がない状態というのは、特殊事例をのぞいてこれまでなかったはずだ。旅が好きな添乗員は、旅に行かないと、旅に関わることができないと元気がなくなる。

そこで、添乗員があつまって旅の思い出を面白おかしくパネルディスカッション形式で語るYoutubeチャンネルがあったら、楽しく話せるはずだ。そしてその内容は、同じく旅が好きだけどコロナで自粛している「お客様」は見たら楽しいはずだ。テーマやディスティネーションことに細かなチャンネルがあってもいい。
『秘境系添乗員のオンライン座談会 旅のハプニング編』とか
『ベテラン添乗員が語る ツアーベスト10』とか。いくらでも企画案が出てくるだろう。
これで手応えがあれば、ロイヤルカスタマー(リピーター)のみを対象に
『アフターコロナの新ツアー企画 旅好きと○○旅行会社が作るヨーロッパツアー』とか
『ベテラン添乗員が語る ここだけの話 二度と行きたくないツアー』とか踏み込んだ内容をしてもいい。

さらに、お客様参加型のZOOMで行なって、お客様が質問できるような双方向性があるものも面白いし、それができるなら旅行説明会をオンラインでできることになる。

この企画は、業務上で知り得た情報を漏らせない守秘義務の問題などがあり、おそらく添乗員が勝手に始めるのは難しい。そこは旅行会社が主導した方がうまくいくと思うし、お客様への格好の営業になると思う。この自粛期に旅心をくすぐられた人は、復活後のツアーに予約してくれる可能性が高いだろうから。


「魅力的なワケーション旅行プランを発信」

日本電産永守重信会長の本日の日経の記事には胸を打たれた。そこにこのような記述がある。「コロナ終息後は全く違った景色になる。テレワークをどんどん取り入れる劇的な変化が起きる。東京都内の会社に勤める人が山梨県に仕事部屋のある広い家を立てるようなケースが増えるだろう」

間違いなくコロナを期に働き方やライフスタイルはさらに多様化し、家族で観光地や温泉地などに行き親のみ仕事をするというようなワケーションのような形も増えるであろう。そして、魅力的なワケーションプランを紹介するようなまとめサイトとかYoutuberがどんどん出てくるはずだ。
だけど、それならば旅行会社は矜持を見せたい。
これまでの実績と知識の裏打ちのあるワケーションプランを宿泊施設などと共に作り上げ、旅行会社の販売網に乗せる。それを世に魅力的に発信して、新しい働き方・新しい豊かな暮らしの提案を行う。


まだまだあるのだが、一旦はこれくらいで。
このように書いていくと、やっぱり「組み合わせ」て、「豊かさ」を提供するのが旅行会社の生きる道なのではと感じる。

今、社会全体が大きな危機に直面していて、それぞれの個人・事業者が新しい道を模索している。ウイルスにより人々は物理的にも心理的にも分断の憂き目にあっている。それぞれの新しい道はまだ、点と点の状態で、お互いにつながりを求めている。これを有機的に組み合わせて価値を作っていくのは旅行会社の得意分野のはずだ。
これは腕がなる。そのようなわくわくした気持ちをもった業界人でありたい。

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